中小企業のマーケティング活動において、Web施策の重要性は年々増しています。しかし、多くの企業が「Web広告だけに頼る」「SNSやSEOに消極的」といった状況に陥りがちです。その結果、売上や顧客獲得において思うような成果が出ず、課題を抱えるケースも少なくありません。
この記事では、Web広告・SNS・SEOといった施策をバランスよく活用する方法と、複数代理店を利用する際に注意すべき点について詳しく解説します。
この記事の内容
Web広告だけに頼るマーケティングのリスク
中小企業がWeb施策に取り組む際、最初に着手しやすいのが「Web広告運用」です。Web広告は即効性があり、短期間でリード(見込み顧客)を獲得できるため、多くの企業が第一の選択肢として取り入れています。しかし、Web広告だけに頼るマーケティングには大きなリスクがあります。
多くの企業では、そもそも広告費の試算が十分に行われていません。「売上の5%を広告費に充てる」といった明確な基準を持たず、「広告費は月50万円」と一律で決められているだけのケースも少なくありません。さらに、繁忙期や閑散期といった季節的な変動が考慮されておらず、年間を通じた計画性に欠けています。その結果、適切なタイミングで広告にアクセルを踏むことができず、良質なリードを獲得できないという課題が生じます。
たとえば、BtoB企業では年間を通じて一定のニーズがあるケースが多いものの、お盆や長期休暇といった時期にはリードが取れないことがあります。こうした状況を考慮に入れた年間計画を立てることで、広告費を効率的に配分し、売上を最大化することが可能です。
また、Web広告だけに依存すると、やがてCPA(顧客獲得単価)が上昇し、成果が頭打ちになるリスクも高まります。そのため、Web広告に加えてSNSやSEOといった施策を組み合わせ、全体のバランスを整えることが不可欠です。
Web広告・SNS運用・SEOの役割と必要性
Web広告:即効性の高いリード獲得手段
Web広告は施策の中でも即効性の高さが魅力です。特にリスティング広告やSNS広告は、設定後すぐに効果を測定できるため、短期的な売上目標を達成する手段として優れています。ただし、Web広告運用においても「形だけの施策」に陥らないよう注意が必要です。
たとえば、運用の目的が明確でない場合、効果検証が不十分なまま予算を使い続け、十分な成果が得られないことがあります。成功させるためには、売上目標やCPAなどの指標を設定し、運用データを継続的に分析して改善を重ねることが重要です。
SNS運用:認知拡大とユーザーエンゲージメント
SNSは、認知拡大やユーザーとのコミュニケーションを通じて、企業や商品の魅力を伝える重要なチャネルです。特にInstagramやFacebookでは、リールやストーリーズを活用することで、ターゲット層へのリーチを効果的に拡大できます。しかし、SNS運用も「目的が曖昧な施策」に陥りがちです。
例として、売上に直結させたい場合はコンバージョンを重視した運用が必要ですが、認知拡大が目的であればインプレッションや流入を指標として運用を最適化する必要があります。企業が「できている」と感じているSNS運用も、実際には「投稿しているだけ」「アカウントを持っているだけ」というケースが少なくありません。
そのため、SNS運用状況を他社と比較する形で分析し、改善点を洗い出すことが重要です。プロの視点で運用状況をチェックし、ブランドアカウントのトンマナを統一するなど、基本的な部分から整備を進めることで、SNS施策の効果を高めることができます。
SEO:長期的な自然流入の増加
SEOは、検索エンジンでの自然流入を増やすための施策です。他の施策と比べて成果が出るまでに時間がかかりますが、一度効果が出始めると安定した流入源となり、広告費を抑えることができます。ただ、SEOでも同様に「形だけの施策」が見られることが少なくありません。
たとえば、効果検証を行わずにキーワードを設定してコンテンツを公開するだけで終わってしまうケースや、サイトの基本的な設計が不十分であるケースが挙げられます。そのため、SEOの専門家に依頼してサイトの課題を洗い出すことが重要です。こうした基礎的な改善を積み重ねることで、SEOの効果を最大化し、長期的な自然流入を確保することが可能です。
複数代理店を使う際に注意すべきこと
Web広告だけでなくSNS運用やSEOも実施するとなると、Web広告、SNS、SEOをそれぞれ別の代理店に依頼するケースは少なくありません。しかし、この方法には大きな落とし穴があります。それは、「施策の一貫性が欠如しやすい」という問題です。
複数の代理店を使って施策を進める場合、各代理店が異なる目的に基づいて動くため、全体の方向性が統一されず成果が出にくくなることがあります。たとえば、Web広告代理店が「コンバージョン獲得」を目的として施策を進めている一方で、SNS運用代理店が「認知拡大」を重視していると、目的のズレが結果に影響を及ぼすケースがあります。
SNSを活用して認知を拡大すること自体は非常に重要です。しかし、認知拡大とコンバージョン獲得といった施策の目的が少しでもズレたまま動き出すと、施策全体がチグハグになり、期待した成果を得られないことがあります。たとえば、SNSで認知を広げたとしても、それが最終的な売上につながる設計になっていない場合、獲得目的の施策とは乖離してしまいます。
また、各代理店がそれぞれの得意分野で施策を進めると、「ここだけ認知の施策になっているが、獲得を目指していたのでは?」「そもそもこの施策の目的はなんだっけ?」といった状態になることも珍しくありません。このような状況は、代理店を複数利用するスタイルそのものが悪いわけではなく、企業側に「施策の軸を統括する人材」がいないことが原因です。
複数代理店を活用する場合でも、各施策の方向性を統一するための「統括者」のポジションを置くことが重要です。統括者がいれば、代理店間の調整を行い、それぞれの施策が一貫した目標に向かうよう進行管理が可能になります。
もし社内でそのようなポジションを置けない場合は、外部のコンサルタントを活用する方法もあります。統括者がいることで、各施策が相乗効果を生み、成果に直結する施策展開が可能になります。
まとめ
中小企業がWeb施策で成果を上げるためには、広告・SNS・SEOのバランスを考慮し、一貫性のある運用を行うことが不可欠です。さらに、複数の代理店を活用する場合でも、統括者を置き施策の方向性を統一することで、期待する成果を得ることが可能です。
「広告だけに頼るのではなく、SNSやSEOを組み合わせたバランス型の施策」を検討し、次の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
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