その成果単価、本当に妥当ですか?

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公開日:2024/01/19

更新日:2024/01/26

CPA(獲得単価)が妥当かどうかわからない

広告費用を投資してリードを獲得したり、Eコマースで売上を立てたりする場合、1件の成果に対してかかっているコストを考えることは担当者として当たり前の取り組みです。

広告費をリードや売上に変換していると考えれば、逆に「いくら予算を投下すれば何件獲得できるのか、いくら売上が立つのか」といったことを計算することも可能になります。

リードの件数や売上を業務上の目標として設定しているWEBマーケティング担当者であれば、「広告予算 = 達成の可能性」と置き換えることができるため、目標を設定するタイミングで予算獲得に動くことが通例になっている方も少なくありません。

ただ、リードの件数や売上金額だけをKPIとして予算を上申すると、特に金額が大きくなるにつれて上役や上層部は簡単にはみとめてくれなくなります。

大きな投資になると、しっかりとビジネス的な効果を論じる必要があり、その時点からCPAが妥当かどうかも考えることになります。

この記事では、「限界利益」という考え方でCPAの妥当性を検証することができるように解説します。

広告投資の意味や、利益的にポジティブな効果が出せるのかどうかを数字で表すことで、予算獲得や取り組みの指標とすることができるようになることを目的とします。

限界利益とは何か

限界利益とは、「管理会計」の考え方のひとつです。

「管理会計」というのは、企業の中で独自の基準で経費などを仕分け、文字通り管理していくことです。

限界利益はシンプルな公式として表現することが可能です。

売上が何なのか、ということは誰でもわかると思います。

商品やサービスを販売した対価として得た金額です。

対して「変動費」についてはこの単語を初めて目にする方にとっては咄嗟にイメージすることができないものかと思います。

一般的には、変動費は売上高に応じて変動する費用のことです。

対する言葉として「固定費」というものがあります。

これは売上がどうであれ変わらない費用のことです。

管理会計では、この変動費と固定費の仕分けが企業によって異なります。

例えば部門を跨いだ費用に関して、所属人数規模単位で按分したり、売上高、もしくは利益率に応じて按分したりするなど、独自のルールで事業の良し悪しを測るための基準が管理会計なのです。

WEB広告を変動費としてカウントする

広告費の是非、CPAが妥当かどうかを測るためには、広告費用は管理会計上の変動費に入れるべきでしょう。

つまり、売上に応じて変動する要素としてカウントします。

サービスなどを販売するためのリード獲得の場合も、Eコマースのように直接的に売り上げを狙う倍も変動費としての計算が可能です。

それぞれ考え方を紹介します。

[サービス販売のためのリード獲得の場合]

1成約(1売上)に何件のリードが必要かを確認します。

成約率が20%の場合は、1売上に対して5件のリードが必要です。

そのサービスの平均販売単価を10万円、原価率を50%(粗利率50% 5万円)と仮定してみましょう。

決済手数料として5%発生し、送料やサービス提供のための工数などで2万円、そしてCPAが1万円だったとします。

この場合、上記で挙げた要素の「売上以外」はすべて変動費になります。

売上 10万円

– 変動費:原価5万円

– 変動費:決済手数料5千円

– 変動費:提供工数2万円

– 変動費:広告費(CPA5件分)5万円

= 限界利益 : -2万5千円

このケースでは残念ながら赤字です。

広告費を除いた限界利益が元々2万5千円しかないため、本来広告費はその2万5千円の範囲内、本質的にはその中から利益を残すような形で運用する必要があります。

1成約に5件のリードが必要であるという状況が変わらない場合、CPA5千円で限界利益ゼロ、そこから下げることでようやく利益が出るということになります。

[Eコマースの場合]

平均購入単価を1万円、1購入に必要なCPAを3千円と仮定して、原価率を70%(粗利率30% 3千円)、決済手数料5%、送料7百円で計算してみます。

このケースでも、挙げた項目の売上以外はすべて変動費です。

売上 1万円

– 変動費:原価7千円

– 変動費:決済手数料5百円

– 変動費:送料7百円

– 変動費:広告費(CPA1件分)3千円

= 限界利益 : -1千2百円

このケースでも赤字になってしまいました。

Eコマースの場合のCPAはシンプルに1コンバージョン(1購入)に対するものですので、1件分の計上で問題ないのですが、それでも赤字です。

CVR(購入率)を上げるか、CPAを落とす必要があるということです。

限界利益で固定費を賄わなければならない

管理会計上、仮に広告費を固定費としてカウントしても、利益を残さないといけない考え方は変わりません。

一件の売上に対して考えるのではなく、残った限界利益に対して固定費が下回っているのかどうかで、その事業の利益貢献度を測ることができます。

月間売上5千万円

– 変動費合計3千7百50万円

= 限界利益 : 1千2百50万円

固定費(広告費以外) : 1千万円

固定費(広告費) : 5百万円

この例では2百50万円赤字です。

売上高の10%の金額を広告投資していたとしても、その他の固定費が重いので利益が出ていません。

やや経営的な視点になっていきますが、現場から広告費の上申をした際、受け手である上層部はこのような利益観点での考慮を少なからず行います。

ですから、そもそもの部分で「そのCPAが妥当かどうか」という設計、つまり「投資をすればするほど利益が残る」設計ができていれば、事業拡大のために意味のある投資であることを証明することが可能になります。

ひとりの広告担当としてどこまで突っ込んだ計算ができるのかは、所属する企業や組織の体質にも拠りますが、基本的な考え方として、「利益を生むための広告投資である」という考えやその根拠を持っておけば、上申は通りやすいですし、また自身の頑張りが会社の業績貢献にも直結することの証明にもなります。

是非、一度計算してみてください。

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執筆者

マーケティングプラスワン

Marketing+Oneの編集チームです。
広告代理店である株式会社HeartFullの広告担当者、メディア担当者、人材サービス担当者たちがサイト運営に携わっています。
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