Google広告の「AI Max」は、検索語句とのマッチングを拡張し、従来のキーワード設計だけでは捉えにくかった検索ニーズへの接点を増やせる機能です。GoogleはDSA(動的検索広告)を利用するキャンペーンについて、AI Maxへの自動アップグレードを2027年2月から開始すると案内しています(2026年10月時点)。一方、BtoB商材では、商材に関連する語句であっても、必ずしも見込み顧客の検索とは限りません。
本記事では、広告枠を法人向けに販売するサービスの運用事例をもとに、AI Maxで見つかった新しい検索意図と、成果につながりにくい検索語句を見極めるための実践ポイントを紹介します。
DSAからAI Maxへの移行で何が変わるのか
従来のDSAは、Webサイトの情報をもとに、設定済みのキーワードだけでは拾いきれない検索にも広告を表示し、広告見出しの動的生成やリンク先ページの自動選択を行う仕組みです。
移行先となるAI Maxは検索キャンペーンで利用できる機能群で、検索語句とのマッチング拡張に加え、広告の見出し・説明文を生成する「テキストのカスタマイズ」や、関連性の高いページへ誘導する「最終ページURLの拡張」などを組み合わせて利用できます。
移行を見据えて先行導入する企業にとっては、配信量の拡大だけでなく、「どのような検索意図に配信が広がるか」を把握することが重要です。
参考:Google 広告とコマースに関するブログ「ダイナミック検索広告をAI Maxにアップグレードします」
【事例公開】BtoBの広告枠販売サービスでAI Maxを先行導入!CV獲得につながった運用ポイント
ここからは、DSAからAI Maxへの移行を見据えて先行導入し、対象キャンペーンでコンバージョン(以下、CV)を獲得した事例を紹介します。AI Max導入後にどのような検索語句へ配信が広がり、どのような確認と調整を行ったかを、成果の推移とあわせて説明します。
今回の対象は、大手小売企業が展開する店舗・施設内の広告枠を法人向けに販売するサービスです。獲得したいのは、広告掲載を検討している企業の担当者で、「一般消費者の店舗来店」や「サイネージ機器の購入」を目的とした検索語句は配信の対象外です。
そのため、BtoCの来店を目的とした検索語句と、機器購入を目的とした検索語句を除外しました。判断にあたって気を付けた点は次の2つです。
1. 店舗名を含む検索語句でも、来店・購入が目的なら除外する
実運用では、サービスを提供する企業名を含む検索語句の扱いに注意しました。
例えば、「店舗名 営業時間」「店舗名 電話番号」「店舗名 通販サイト」は、ブランド名を含んでいても、店舗の利用や商品の購入が目的と考えられます。広告枠への出稿ニーズとは異なるため、これらの検索語句は除外しました。
2.「サイネージ」という関連語だけでは判断しない
もう一つの除外対象は、デジタルサイネージの筐体を買いたいユーザーです。今回の商材は広告枠の販売であり、ディスプレイやモニター本体は販売していません。そのため、DSAの運用時から「インチサイズ」「モニター」「筐体購入」など、機器選定・購入を示す語句を除外していました。この方針はAI Maxへの移行後も引き継いでいます。
重要なのは、「サイネージ」という言葉を一律に除外しないことです。「サイネージに広告を掲載したい」人と「サイネージ端末を買いたい」人は同じ単語を使います。単語の一致ではなく、周辺語と検索意図を確認する必要があります。
このように、対象外の検索意図にあたる語句を除外し配信を行ったところ、CV獲得につながりました。AI Max導入初月はクリック獲得が先行しCVは確認できませんでしたが、検索語句を継続して精査したことで、翌月以降にはCVを確認しています。
▼検索語句の意図と運用上の判断例
| 検索語句の例 | 想定される意図 | 運用上の判断 |
| 店舗名 営業時間 | 店舗を利用したい | 除外 |
| 店舗名 電話番号 | 店舗へ連絡したい | 除外 |
| 店舗名 通販サイト | 商品を購入したい | 除外 |
| サイネージ 〇〇インチ | 機器・筐体を探している | 除外 |
| モニター 購入 | 機器を購入したい | 除外 |
| 店舗名 広告 | 広告掲載を検討している可能性 | 継続 |
| 大阪・梅田 特定ビジョン名 | 媒体を指定した広告出稿の可能性 | 継続 |
ただし、この推移だけで「除外設定によってCVが増えた」と断定することはできません。入札・競合状況や配信対象など、他の要因も影響します。今回の事例から伝えたいのは、AI Maxを有効化した後も検索語句の確認と改善を続ける必要があるという点です。
新たなCVクエリは、具体的な出稿ニーズを教えてくれる
AI Max経由でCVにつながった検索語句として、「店舗名 広告」に相当する語句が確認されました。単なる来店目的の検索語句ではなく、広告掲載を調べている可能性がある語句です。ただし、企業のCMを探しているだけのケースもあり得ます。そのため、CVの発生と問い合わせ内容をお客様と確認を行い、実問い合わせにつながっているかを併せて確認し、各検索語句の評価を実施しています。
さらに、「大阪・梅田エリアにある特定のビジョン名」を含む検索語句でもCVが確認されました。広告主が事前に用意した一般的なカテゴリ語だけでなく、具体的な媒体名を起点とする需要を拾える可能性を示しています。こうした語句は、広告文やランディングページの訴求を見直すヒントにもなります。
「表示されている語句」だけで全体の評価を判断しない
今回の運用では、DSA時代から、CVの多くが検索語句レポート上の「他の検索語句」に含まれていました。AI Maxでも同様に、詳細な語句が分からないCVが存在します。検索語句レポートには、プライバシー保護などの理由で個別表示されない検索語句があるため、表示されている語句だけで全体の成果を評価しきれない点に注意が必要です。
その場合は、表示されている検索語句で除外判断を進めつつ、キャンペーン全体の成果や問い合わせの質を併せて確認することが重要です。「他の検索語句」そのものを特定の検索語句として除外できるわけではありません。
BtoBでAI Maxを運用する際の改善サイクル
今回の事例をもとに、BtoBの商材でAI Maxを運用する際の改善の流れを次の4つに整理しました。
1. 最初に「売るもの/売らないもの」を整理する
広告枠の販売なのか、機器販売なのか。自社の提供範囲を明文化すると、除外方針に一貫性が生まれます。
2. 検索語句を「意図」で分類する
来店・営業時間確認、商品購入、広告掲載の比較、具体的な媒体名での指名などに分け、同じブランド名を含む語句でも判断を変えます。
3. 除外は少しずつ行い、配信変化を検証する
広い単語をまとめて除外すると、広告出稿意図のある検索語句まで失う可能性があります。検索語句・マッチタイプ・適用範囲を確認します。
4. CV数だけでなく、有効なリードかを確かめる
フォーム送信があっても、商材の対象外であれば売上にはつながりません。可能であれば問い合わせ内容や商談化まで確認します。
まとめ
AI Maxは、BtoB商材でも従来の運用だけでは捉えにくかった検索ニーズを発見する手段になり得ます。今回の事例でも、「店舗名 広告」に相当する語句に加え、特定の媒体名を含む検索語句からもCVが確認できました。
一方で、店舗への来店を目的とする検索語句や、取り扱っていない機器を購入したい検索語句も混在します。AI Maxを運用する際は、検索語句の拡張を活かしながら、顧客にならない検索意図を継続して除外していく必要があります。
弊社では、AI Maxの導入やDSAからの移行、検索語句の確認と除外方針の整理についてのご相談を受け付けています。現在の配信状況や商材の提供範囲をうかがったうえで、対応の進め方を検討します。

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