2024年8月、日本のGoogle検索に「AI Overview(AIによる概要)」が導入され、検索結果のあり方に大きな変化が生じています。この機能は、検索クエリに対してGoogleがAIを用いて自動生成した要約を、検索結果の最上部に表示するものです。
この記事では、AI Overviewの仕組みや表示傾向、SEOへの影響、サーチコンソールの計測や見方について解説します。
GoogleのAI Overviewとは
AI Overviewの概要
GoogleのAI Overviewは、検索クエリに対してAIが自動生成した要約を、検索結果の最上部に表示する機能です。日本では、2024年8月から実装されました。「AIによる概要」ともよばれていますが、これは複数の信頼性の高いサイトから情報を抽出・統合して作成されており、ユーザーに迅速で的確な情報提供を行うことを目的としています。
2025年3月のコアアップデートで増加傾向に
2025年3月に実施されたGoogleのコアアップデート以降、AI Overviewの表示頻度が大幅に増加しています。特にエンタメ、グルメ、旅行ジャンルでは顕著で、以下のような傾向が見られます。
- エンタメ関連クエリ(例:「ジュリア・ロバーツの映画」「シカゴで撮影された映画」)では表示回数が528%
- グルメ関連クエリ(例:「デートに最適なレストラン」「近くのタイ料理店」)では387%
- 旅行関連クエリ(例:「サンタフェでできること」「ハワイのアクティビティ」)では381%
これらのジャンルは、従来AI Overviewがあまり表示されていなかった分野であり、今回のアップデートによって新たに対象範囲が拡大されたと考えられます。
参考:Google AI Overviews spiked during March 2025 core update
AI Overviewに表示される仕組み
AI Overviewに表示される仕組みとしては、まずGoogleは膨大なインデックスから検索意図に合致する情報を抽出し、AIがそれらを解析・統合して要約を作成します。次に、その要約に対して出典元となるリンクや引用文を挿入し、必要に応じて強調表示や動画などのメディア要素を追加します。この一連のプロセスが瞬時に実行され、ユーザーに表示される段階では、すでに情報の取捨選択と整理が完了している状態です。
では、どのようなケースでAI Overviewが表示されるのでしょうか?前提として、すべての検索結果に表示されるわけではありません。
表示されやすいケース
AI Overviewは、「〜とは」「〜のやり方」「〜のメリット」など、ユーザーが明確な情報を求めるクエリに対して表示されやすい傾向にあります。こうした質問形式やハウツー系のキーワードでは、要約形式で情報を提供するAI Overviewとの親和性が高いためです。
表示されにくい・されないケース
一方で、お金・健康などに関するYMYL領域で情報の正確性が特に求められる場合や、信頼できる情報源からの裏付けが不十分である場合などは、AI Overviewに表示されにくく、もしくは表示されません。
AI Overview登場によるSEOへの影響
AI Overviewの導入により、従来の検索結果を経由しない「ゼロクリック検索」が増加しています。情報ニーズが要約によって満たされるため、クリックされずに離脱されるケースが増えており、上位表示されているにもかかわらず流入が減少する事態も起こっています。
また、2025年3月のコアアップデート後、AI Overviewに引用されるページと、通常の検索結果上位10件との重複率は16%から15%へと微減したことがBrightEdgeの調査により判明しました。これは、検索順位に関わらずAI Overviewへの引用が行われる可能性があることを示唆しています。
つまり、上位表示されていないサイトでも、AI Overviewに引用される可能性が高まり、認知やトラフィック獲得に繋がる機会が増えたとも言えます。
Googleのジョン・ミューラー氏も、AI Overviewがコアアップデートにより影響を受けることを認めており、今後もこの流れは継続する見通しです。
また、Googleの幹部であるエリザベス・リード氏によれば、AI Overview の導入以降、「ユーザーはより多くの質問をするようになり、それらの質問はより長く、よりニュアンスに富み、特定の制約や視点を表現するものになっている」ようです。
特に、新しい技術への適応や期待の度合いが強い若いユーザーの間で顕著に見られているようで、流入クエリの変化も今後大きくなっていくかもしれません。
参考:
Google AI Overview-organic ranking overlap drops after core update
海外SEO情報ブログ「GoogleのAI検索改革——エリザベス・リード氏が語るAI Overviewとその先」
AI Overviewに表示されたときのサーチコンソールの計測について
続いて、AI Overviewに自社サイトが引用された場合、Googleサーチコンソール上でどのように表示回数や掲載順位、クリック数が記録されるかについて見ていきましょう。
まず、AI Overviewの中に表示されているリンク付きのサイトは、すべて検索順位「1位」としてカウントされます。仮に5つのサイトが表示されていれば、AI Overviewは検索結果のトップに表示されることが多いので、それぞれが1位扱いとなります。その下に続く通常の検索結果の最上位は「2位」として記録されます。
次に、表示回数については、AI Overviewがユーザーに「開かれた状態」で表示された場合に限りカウントされます。たとえば、下記の検索結果を見てみましょう。

AI Overviewが初期状態で折りたたまれていて、ユーザーが「もっと見る」などの操作をしないと表示されない場合、その表示は折りたたまれたままではカウントされません。逆に、ユーザーが「もっと見る」を押下し、AI Overviewを展開して内容が表示されると、1回の表示として記録されます。
クリック数については、AI Overview内のリンクがクリックされたときに計測され、通常の検索結果と同様です。
まとめると、AI Overviewにおける各種指標の計測は以下の通りです。
- 表示回数:AI Overviewが展開され、リンクが表示された状態になって初めてカウント
- クリック数:ユーザーがAI Overview内のリンクをクリックしたときにカウント
- 掲載順位:AI Overviewに表示されたリンク先が「1位」として記録
なお、これらの計測ルールは、Google公式のサーチコンソールヘルプおよび2025年4月24日に実施されたGoogle検索オフィスアワーにて明確に説明されています。
参考:
Search Console ヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」
Google検索オフィスアワー(2025年4月24日)
引き続きユーザーファーストのSEO対策が重要
AI Overviewによる検索体験の変化が進む中でも、SEO対策の本質は変わりません。ユーザーの検索意図にしっかりと応える質の高いコンテンツを作成することが、AI Overviewに引用・表示されるためにできることです。
具体的には、次のようなポイントが求められます。
- 信頼性のある情報源を提示
- テーマに対して網羅的に解説
- 専門的な視点や一次情報の活用
さらに、単にAI Overviewに引用されるだけでなく、サイト内での回遊やCVにつなげるための導線設計も引き続き重要です。
まとめ
AI Overviewの登場は、SEO戦略に新たな視点を求めています。検索結果での表示順位に加えて、AIによる要約に引用されるかどうかが、今後の集客に大きな影響を与えると言えるでしょう。
ですが、根本にあるものは変わりません。ユーザーファーストの姿勢を忘れず、信頼性・網羅性・専門性を高めたコンテンツ作りに注力することが、成果を出し続ける鍵となります。

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