LTV(顧客生涯価値)を想定することで広告投資の考え方を深める

  • Web広告

公開日:2024/01/19

更新日:2024/02/05

短期間で広告投資が回収できない

広告費を投じる以上、その投資を上回る「リターン」が必要です。リターンとはすなわち「売上」で、粗利や人件費なども含めて、広告投資も差し引いた上で利益が残るのかどうかをしっかりと見極めることが必要です。

それはWEBマーケティング担当の仕事ではないかもしれません。

ただ、リードはしっかりと取れているのに突如予算が削られてしまったり、なくなってしまったりした場合は、上層部で上記のような内容が検討されて、「投資していてもリターンがない」と判断されてしまったのかもしれません。

そのような場合に1コンバージョン、1売上単位で考えるのではなく、広告をきっかけとして自社と繋がることができた顧客が、離れていくまでにどれだけの売上を創出するのかを加味すると解決することがあります。

一人の顧客が、トータルの付き合いの中でどれだけ自社に利益をもたらしてくれるのか、ということは「LTV(Life Time Value)」と呼ばれる考え方になります。

日本語で表現すると「顧客生涯価値」です。

CPA単位で考えたら売上も利益も少なくて広告費を全く回収できなくても、LTVベースで考慮すると十分に利益が残る場合、その広告投資は無駄にならないという考え方ができるようになるのです。

この記事では、改めてWEB広告の収益性を考えたい場合や、「採算が取れていない」などの指摘を受けた際に、LTVを加味することでビジネス的な意味を整理できるようになることを目指した解説をします。

LTVの計算方法

顧客生涯価値を考える場合には、その前提となるいくつかの情報が整理されている必要があります。

所属しているマーケティング部門でデータがない場合は、例えばカスタマーサポートの部門などに確認するなどして情報を集めるところから始める必要があります。

主に以下のような公式で算出することができます。

平均単価というのは、一人の顧客が一回の購入でいくら売上を生み出しているのかということで、利益率はまずは粗利で計算してしまって問題ありません。

そして購入頻度は月に何回、もしくは年に何回売上が見込めるのかということで、継続期間はその単位(月 or 年)になります。

仮に適当な数字を当てはめてみます。

平均単価1万円、粗利率は40%で、購入頻度はだいたい年に3回、平均して5年リピートしていただいているということであれば、LTVは1万×40%×3×5で、6万円です。

仮に、CPAが1万円かかっていて初回購入ではまったくペイできなかったとしても、以降の14回の購入では初回購入ほどの広告コストはかからないのが一般的(5分の1が相場)ですので、初回のCPA1万円とリピート購入14回分×2千円の2万8千円を6万円から差し引いても利益が2万2千円残ります。

シンブルに、上記で「1万円の商品を1万円の広告費をかけて売る意味はあるのか」という問いに対しての答えがでます。

「1万円の投資で、最終的な利益は2万2千円残ります」ということが回答です。

Eコマースなどの場合

Eコマース運営の中で広告の管理も行っている場合、毎月の収支などに追われてLTVまで思考が及ばない状況も考えられます。

特にEコマースが事業の核となっている場合、広告費や人件費に加えて送料や原価、倉庫費用などコストの嵐になるからです。

それでいて「価格勝負」になりやすいビジネスですので、収益が厳しくなったら広告費をカットする考えが真っ先に浮かぶのは仕方がありません。

それでも、資金に少し余裕があって将来に向けてビジネスを拡大していく考えがあるのであれば、一度自社のEコマースについてリピート率を計測してみて、1回目の注文に対してどれだけコストをかけて良いのかを考えてみてください。

Eコマースではリピート注文を生み出すために購入履歴のある方に対してメールマガジンを配信するなど様々な手法の販促を実施していると思います。

ここでも、「新規獲得のためのコストはリピートオーダーを生むコストの5倍」という公式を当てはめて、「初回」と「リピート」に分けてじっくりと戦略を立ててみても良いのではないでしょうか。

競合が異常な広告予算をかけている場合

LTVはビジネス戦略を考える上でも重要な指標です。

そして、ビジネスを拡大する上で一番重要な要素が「集客」です。どのようなモノを作っても、サービスを考えても、それを認知してもらい、「欲しい」と思ってもらうプロセスがなければ売上は立たないのです。

ただ、平均単価や利益率を鑑みると広告費として投じることができる予算には限りがあります。

少なくとも、1回限りの売上だけに着目すると、限りがあるように見えてしまいます。

それにも関わらず、同じような商品、同じようなサービスを提供している競合他社が破格の広告費を投じているように見える場合、その競合は恐らくLTVを細かく計算しています。

「初回購入では利益を取らない」という方向に振り切っているので、大胆な広告投資ができているのです。

ビジネス戦略や経営方針にもつながるような内容ではあるのですが、広告出稿という取り組みはすべてのビジネスにとってスタート地点ですので、WEBマーケティング担当者としてLTVやそこから算出できる長期的な収益性について理解しておくことは意味があります。

是非一度、自身が集客に取り組んでいるビジネスについてLTVを整理してみてください。

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執筆者

マーケティングプラスワン

Marketing+Oneの編集チームです。
広告代理店である株式会社HeartFullの広告担当者、メディア担当者、人材サービス担当者たちがサイト運営に携わっています。
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