今回はwebサイトの分析についてご紹介します。
よくマーケターの方から、分析について「Google Analyticsを見ても課題の抽出とその課題に対してどこをどう改善をすれば良いか分からない」という相談をいただきます。
そこで、今回は筆者がよくやる(正解かはわかりませんが汗)分析の仕方をご紹介したいと思います。
なぜ、分析に時間がかかってしまうのか。それは、目的がふわっとした状態で、Google Analyticsの画面とにらめっこをして、課題を探していませんか?(と言いつつ、私も最初はそうでしたが…)
この記事の内容
Google Analyticsの分析の流れ
Google Analyticsの分析を始める際、いきなりGoogle Analyticsの画面を見るのではなく、まず見るべきは、自社サイトのゴールまでの導線です。
- 自社サイトのゴールまでの導線を見る
- 分析の目的を定める
- 目的に沿って仮説を立てる
大まかな分析の流れは上記の通りです。
効率よく分析をするためには、まずは分析の目的を定めましょう!
目的ごとに仮説を立てることで、分析が効率化し、短時間で中身のある分析が可能になります。(今回はLPの分析は除いています)
まず、自社のサイト構造をしっかり理解をした上で、ユーザーがアクションを起こすまでの道順をイメージします。
そうすると、ゴールまでのページはフォーム・確認ページも含め、だいたい4ページから10ページくらいになると思います。(不動産や求人、ECなど物件・案件・商品のページが複数あるものを含め)
ユーザーの動線イメージを描くことができたら、実際にサイトでゴールを目指して操作してみてください。
そこで核となるページが何ページか見えてくるはずです。
たとえば、カテゴリーの一覧ページや詳細ページなど、選ぶもしくは決断するページです。
ここまでイメージができたら、イメージ通りにユーザーが動いているのか?核となるページでユーザーの反応はどうなのか?ということを、実際にGoogle Analyticsの画面を見ながら数値を抽出してみましょう。
数値を抽出することで、現状の課題を可視化することができます。
Google Analytics分析でまず押さえたい用語とポイント
Google Analyticsを見ていると、様々な専門用語が出てきますよね。
今まであまり触れたことがない人にとっては、「言葉は聞いたことがあっても意味がよく分からない」ということも多いでしょう。
そこでまずは、今回紹介する分析方法で抑えておきたい専門用語を簡単に解説します。
直帰率
直帰率とは、セッション数に対して、訪問したユーザーが他のページを見ずに、サイトを離脱した率を表す数値です。
1枚LPは、問い合わせフォームへの遷移先しかない場合、ほとんどが直帰扱いとなり、90%前後の数値になります。
離脱率
直帰率とよく混同して間違いやすいのが、離脱率です。
離脱率とは、セッション数に対して、ユーザーがいくつかのページを閲覧した後で、そのページを最後に離脱した割合を表す数値です。
つまり、サイト内で特定の1ページだけを見てサイトから離れた場合には「直帰」となり、複数のページを遷移してサイトを離れた場合には「離脱」となるのです。
ページ滞在時間
ページ滞在時間とは、ユーザーが閲覧を開始したページから、次に見たページに遷移するまでの時間を表す数値です。
たとえば、ユーザーがページAから閲覧を開始し、60秒後にページBに遷移した場合、ページ滞在時間は60秒となります。
しかし、ユーザーがページAを60秒閲覧してその後他のページを見ずに離脱してしまった場合、ページAの滞在時間は0秒とカウントされてしまうため、あくまでも2つ以上のページを閲覧した場合に計測されるということを覚えておきましょう。
ランディングページ
ランディングページは、ユーザーが閲覧を開始するページです。
サイトに入ってきた入り口とも言えます。
その他の用語については下記の記事でも紹介していますので、併せて参考にしてください。
関連記事「Web広告でよく使う指標・計算式や分析のポイントを一挙解説」
いくつか用語の意味を理解した上で、続いて目的ごとに見るポイントを紹介していきます。
- ユーザーの動線を分析したい
直帰率を確認し、直帰率が高い場合には「なぜ高いのか?」要因を考えたり、離脱ページの抽出を行ったりします。
- 集客の効果を分析したい
広告を配信している媒体別の効果を見たり、「ランディングページはきちんと機能しているのか?」などを見たりします。
- ユーザーの満足度を分析したい
ページ滞在時間を確認したり、ユーザーの閲覧ページ数の妥当性を見たりします。
見るべき項目、ページ、導線を理解したら次のステップ、数値による可視化を行いましょう!
【目的別】Google Analyticsの分析方法
目的①ユーザーの動線を分析したい
ユーザーの動線を分析したい場合、まずはランディングページの直帰率を確認してみましょう!
直帰率を改善することで下層ページへの流入数が増えるため、CVR向上の期待がもてます。
ただ、集客にも依存する部分にもなりますので、目安をまず理解しましょう!
【目安】オーガニック経由の直帰率:10%~30%くらいに抑えられるのが理想。
関係性が低いキーワードからの流入が多い場合は、50%以下を目指しましょう。
リスティング広告(検索)経由の直帰率:30%〜50%が目安となりますが、広告運用のパフォーマンスが上がるほど、直帰率は低くなると思いますので、そこは集客のバランスを見ながら改善していきましょう。
ディスプレイ広告経由の直帰率は、80%から90%が目安となります。
広く浅いユーザーを取り込むため、直帰率は高くなる傾向にあります。
80%を下回ればパフォーマンスは良いと言えます。
上記の相場を理解した上で、流入上位のランディングページをピックアップし、それぞれの閲覧開始ページの広告媒体・手法を意識した上で数値の抽出をおこないましょう。
続いて分析で見るべきなのは、ランディングページからゴールまでの間に、本来ユーザーに離脱して欲しくないページの離脱率です。
離脱してほしくないページで離脱している場合は、「次のステップがよくわからない」「ページの表示に時間がかかる」「魅力を感じなかった」など要因を仮説立てて、サイトの改修を実施していきましょう!
直帰率を下げる(LPの場合は読了率を上げる)ための改善施策は?
直帰率が高いと下層ページへの流入は見込めなくなり、CVにも繋がりにくいです。
そこで、ファーストビューの改善が必要になります。
まず重要なポイントは、ファーストビューにユーザーが求めている情報があるかどうか、パッと見てそれが伝わるかどうかです。
LPでよくありがちなのが、自分たちの強みはこれ!と自己主張が優先されるパターンです。
本当に優先すべきは、どんな課題を持っているユーザーにアプローチし、どんな解決策を提案できるかになります。
最初に自分ごと化できる課題を提示してあげたり、解決策をわかりやすく先に見せてあげたりすることで、ユーザーはそのページを読んでみようという気持ちになります。
LPではないサイトに関しても同じですが、LPほど要素を詰め込めないので、グローバルナビやキービジュアルでいかに上記で述べた要素を伝えることができるかが重要です。
あとはスマホで見た際に、スマホ最適化がされていなかったり、表示されるまでに時間がかかったりする場合も、直帰率が高くなる要因です。
考えられる課題点を見つけてサイト改善を行い、ユーザーにきちんとアプローチできるようにしましょう!
目的②集客の効果を分析したい
広告効果については、各媒体の管理画面上でまず効果の良し悪しを判断するかと思います。
そして、効果が悪い場合には、何が悪いのか要因を抽出する必要があります。
キーワードや配信面、手法、クリエイティブ、LPなど…広告の管理画面ではCTR、CVRまでしか分からないため、悪いものに対してサイト上での行動がどうなっているのか?については、Google Analyticsでの分析が必要です。
例えばYDNとGDNを比較して、Google Analytics上でユーザーの行動を見てみます。
YDNの方が直帰率が高く、ゴール手前のページで離脱が多い場合、興味がないユーザーを誘導している可能性があり、YDNのセグメントに要因があると仮説を立てることができます。
CVRが低いということはゴールまでに辿り着いていないため、数値結果から要因の仮説を立て、広告の改善に役立てましょう!
といってもあまりイメージが付かないと思うので、ここで一つ改善例をご紹介します!
【改善例】健康食品の広告でYDNとGDNの効果を比較
※クリエイティブ、LPは同じもので検証。YDN配信セグメント:サーチターゲティング/ダイエット
CVR:0.8%
CPA:8,000円GDN配信セグメント:カスタムアフィニティ/ダイエット
CVR:0.3%
CPA:20,000円
YDNとGDNの配信セグメントは、上記の通り同じダイエットユーザーをターゲットとしています。
しかし、GDNの方がCVRが低いことが分かりますね。これはいったいなぜでしょうか…?
そこでGoogle Analyticの「直帰率」と「ページ滞在時間」をそれぞれ見てみましょう!
YDN直帰率:75%
滞在時間:1:20
PV/セッション:3.4GDN直帰率:87%
滞在時間:0:44
PV/セッション:1.9
上記を見ると、GDNから入ってきたユーザーの直帰率が高く、なおかつページ滞在時間、閲覧のページ数も少ないことが分かります。
つまりこれは、GDNのカスタムアフィニティで呼び込んでいるユーザーの質が低い(狙っているターゲットとズレている)可能性が高いと考えられます。
Google Analyticを分析した結果、同じクリエイティブ&LPでYDNは目標をクリアできていたことから、クリエイティブとLPに問題があるわけではなく、広告のセグメントに問題があることが明確に分かりました。
GDNから入ってきたユーザーの購入意欲が低く、商品がユーザーの課題を解決できるというイメージに繋がらなかったと判断することができます。
その結果、CVにあまり繋がらないGDNの配信を抑え、YDNに配信を寄せたことで、良い結果へと繋がりました。
このように、各媒体の管理画面上でまず結果の良し悪しを確認し(今回の場合はGDNとYDNの管理画面を確認しました)、媒体によって効果が違う場合には、Google Analyticの直帰率やページ滞在時間などを確認することで、なぜ悪いのか?(良いのか?)根拠のある仮説を立てることができます!
目的③ユーザーの満足度を分析したい
複数商品がある場合、ユーザーが検索し、目的のものに辿り着けるかがポイントとなります。
ユーザーが目的のものに辿り着けなければ、満足度は低いと言えるでしょう。
不動産や人材、ECなどはUIを整え、目的の商品までの導線をわかりやすくしてあげる必要があります。
「ユーザーが目的のページまできちんと辿り着いているか?」を分析したい場合、筆者が行うやり方として、全体のPV数に対して、商品詳細ページにどれほどのユーザーが到達しているのかを検証します。
Google Analyticsの管理画面:行動>サイトコンテンツ>すべてのページ>詳細ページのURLでフィルタをかける
詳細ページのPV数が増えるほど、ユーザーと商品のマッチ率が高くなります。
サイトの導線からレコメンドの設置、一覧ページ上での商品の見せ方などを改善し、詳細ページの閲覧数を増やせるよう検証していきましょう。
あとは滞在時間を見て、商品を探す上で妥当な時間かどうかを判断しながら検証します。詳細ページのPV数が伸びれば、滞在時間は増えます。
まずは、上記の項目に対して、数値で課題を可視化し、サイトの改善、集客の見直しを図ってみましょう。
1ヶ月間ほどデータを貯めて、また数値を確認し改善ということを繰り返していければ、効果は改善していくはずです!
以上、今回はGoogle Analyticsの分析方法、主に「課題抽出の方法と改善できるポイントの見つけ方」をご紹介しました。
ぜひ効果の良い広告運用にお役立てください。
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