企業がTikTok Shopを始めるべき理由と日本での成功事例4選

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公開日:2026/08/05

更新日:2026/08/05

TikTok Shopは、TikTok内の動画やLIVE配信で商品を知ったユーザーが、そのままアプリ内で購入できる仕組みです。既存ECやSNSを運用していても売上が伸びず、「参入する価値はあるのか」「自社商材に向いているのか」と迷う方も多いでしょう。TikTok Shopの特徴や企業の活用例、導入メリット、判断ポイントを知ることで、自社ECの新たな販売チャネルとして活用できるかを検討しやすくなります。

TikTok Shopとは

TikTok Shopは、動画を見て商品を知る体験と、商品を購入する体験を結び付けたEC機能です。日本では2025年6月30日に提供が始まりました。

TikTokでは、ショート動画やLIVE配信から、他のアプリやページに遷移することなく、そのままアプリ内の商品ページへ移動できます。LIVE配信では、視聴者から寄せられた質問に答えながら商品を紹介できます。商品ショーケースや、提供状況に応じてショップタブなどから商品を探せる場合もあります。

TikTokは、この仕組みを「ディスカバリーEコマース」と呼んでいます。ユーザーが商品名を検索するだけでなく、動画を楽しむなかで商品を発見する購買体験を指す言葉です。

TikTok内で購入が完結する仕組み

TikTok Shopでは、ショッピング動画やLIVE配信に商品をタグ付けできます。ユーザーは動画内の商品リンクをタップし、商品情報などを確認して購入手続きへ進むことができます。

従来は、TikTokで商品を知った後、多くの場合、検索エンジンやECモールで商品を探し直す必要がありました。その間に別の商品と比較したり、購入を後回しにしたりすることもあります。

しかし、TikTok Shopでは、商品への興味が高まった流れを保ったまま購入できます。「おすすめ」フィードに表示された動画から商品を発見し、その場で注文できることが特徴です。

なぜ企業がTikTok Shopを始めるべきなのか

TikTok Shopが注目されている背景には、企業と顧客が出会う方法の変化があります。自社ECを用意して広告やSNSを運用するだけでは、新しい顧客との接点を増やしにくいケースも見られます。

検索型ECだけでは顧客と出会いにくい

一般的なECサイトは、ユーザーが商品名や悩みを検索することから始まります。例えば、「ヘアアイロン おすすめ」と検索する人は、すでにヘアアイロンの購入を検討している可能性が高いです。

検索型ECで接点を持てるのは、このように購買ニーズが表面化したユーザーが中心です。検索結果やECモールには多くの商品が並ぶため、知名度やレビュー数、広告予算で競合に負けると、商品を比較してもらう段階まで進めない可能性もあります。

一方で、TikTokでは、ユーザーの興味や視聴行動に応じて動画が表示されます。そのため、商品名を検索していない人にも、使い方や利用場面を通じて商品の存在を知らせることができます。

検索された後に選ばれるだけでなく、検索される前に興味を生み出せる点が、TikTok Shopを始めるべき理由の一つです。

SNSの認知が売上につながりにくい

SNSのフォロワーや動画の再生数が増えても、ECの売上が同じように増えるとは限りません。SNSと購入場所が分かれていると、ユーザーが途中で離脱しやすいためです。

従来の動線では、投稿を見た後にプロフィールを開き、外部リンクをタップします。さらにECサイト内で商品を探し、カートへ入れて決済する必要があります。動画を見て「欲しい」と感じても、外部サイトへ移動する間に気持ちが薄れることがあります。リンク先で該当商品が見つからず、購入を諦めるケースも考えられます。

しかし、TikTok Shopでは、動画に表示された商品から直接購入手続きへ進めることができるので、SNSで生まれた興味を、販売へつなげやすい設計です。認知施策と販売施策を近づけることで、「動画は見られているのに購入されない」という課題を改善できる可能性があります。

新規顧客の獲得コストが高まっている

広告だけに頼った集客では、広告出稿を止めると顧客との接点も減りやすくなります。競合が多い市場では、クリック単価や顧客獲得単価が上がる可能性もあります。

TikTok Shopでは、自社アカウントの投稿に加え、クリエイターの投稿も販売経路として活用できます。企業だけでは接点を持ちにくいコミュニティへ、商品の情報を届けられる仕組みです。既存広告とは異なる顧客獲得経路を増やせる点は、導入を検討する価値があるといえるでしょう。

企業がTikTok Shopを導入するメリット

TikTok Shopのメリットは、商品を販売できることだけではありません。認知、商品理解、購入という一連の流れを短くできる点にあります。

クリエイターとの連携やコンテンツの検証にも活用できるため、販売チャネルとマーケティング施策を兼ねた運用が可能です。

購入までの離脱を減らせる

TikTok Shopでは、購入までに経由するページが減るため、途中離脱を抑えられやすいです。

例えば、コスメの使用動画を見たユーザーは、動画内の商品リンクから色や価格を確認できます。商品名を覚えて、別のECサイトで検索する必要はありません。

また、LIVE配信などでは、使用感やサイズなどの質問に答えた直後に商品を案内できます。疑問が解消され、購買意欲が高まったタイミングを逃しにくくなります。

クリエイターと販売を拡大できる

TikTok Shopのアフィリエイトプログラムでは、クリエイターに商品を紹介してもらうことができます。企業が商品や報酬条件を設定し、自社と相性のよいクリエイターと連携できる仕組みです。 

クリエイターは、自分の視聴者に合う形で商品の魅力を伝えられます。企業が単に商品を紹介するより、日常で使った感想を紹介するほうが伝わりやすい商品もあります。

企業アカウントだけで動画を発信する場合、制作できる本数や表現には限りがありますが、複数のクリエイターと連携すれば、異なる切り口の動画を増やすことが可能です。

認知から購入まで一体化できる

従来のSNS運用では、動画の再生数やエンゲージメントと、ECの売上を別々に管理することが一般的でした。

一方、TikTok Shopでは、商品を知るきっかけとなる動画の視聴から購入までが、同じアプリ上で完結します。どのコンテンツが商品クリックや注文につながったかを把握しやすくなります。

例えば、商品の開発背景を紹介する動画は認知に向いていても、購入率は高くないかもしれません。一方、使用方法を実演した動画は再生数が少なくても、購入につながる場合があります。

訴求に対して検証・改善のサイクルが回しやすい

TikTok Shopでは、動画の見せ方を変えながら商品への反応を検証できます。同じ商品でも、訴求内容によって視聴者の反応は変わります。

例えば、調理器具であれば「時短」「仕上がり」「手入れのしやすさ」など、複数の切り口で動画を制作できます。商品クリック率や購入率を比較すれば、どの価値が伝わりやすいかを確認できます。

反応がよかった訴求は、自社ECの商品ページや広告、店頭販促へ展開できます。反対に、視聴されても購入されない場合は、価格や商品説明、対象ユーザーを見直す材料になります。

TikTok Shopに参入している企業例

日本では、TikTok Shopの提供開始時から、化粧品、美容機器、アパレルなど幅広い分野の企業が参画企業として発表されています。

参考:TikTok「多様な日本・グローバルブランドが参画、ローカル企業との共創」

企業例を見る際は、知名度だけでなく、商品を動画でどう見せられるか、既存の販売体制をどう生かせるかに注目すると参考になります。

ヨドバシカメラ

「ヨドバシカメラ」は、家電を中心に幅広い商品を扱う大手家電量販店です。 

引用:「ヨドバシカメラ」TikTok公式アカウント

同社の特徴は、ヨドバシ・ドット・コムで培った物流体制を活用できる点です。注文処理、在庫管理、梱包、配送などの既存基盤を、新しい販売チャネルにも生かしています。

TikTok Shop向けには自社ライブスタジオも用意し、メーカー商品のLIVEコマースやショート動画を自社で制作できる体制を整えています。

TikTok Shopへの参入では、動画制作だけでなく、受注後の配送や在庫管理も欠かせません。既存ECの運営基盤とコンテンツ制作を組み合わせた事例として参考になります。

参考:ヨドバシ.com「ヨドバシカメラTikTok Shopにてフルフィルメントサービスの連携スタート」

KATE

「KATE」は、花王グループのメイクアップブランドです。

引用:「KATE」TikTok公式アカウント

コスメは、色味や質感、使用前後の変化を動画で見せやすい商材です。メイク方法や商品の組み合わせを紹介しながら、使用した商品をそのまま販売できます。

ショート動画では、短時間で商品の仕上がりを伝えられます。LIVE配信では、視聴者の質問に答えながら、色選びや使い方を説明することも可能です。

KATEの例からは、店頭やECの商品情報だけでは伝えにくい使用感を、コンテンツによって補える可能性が読み取れます。

ReFa

「ReFa」は、株式会社MTGが展開する美容ブランドです。

引用:「Refa」TikTok公式アカウント

美容機器は、使い方や動き、使用する場面を動画で伝えやすい商材です。商品画像だけでは分かりにくいサイズ感や操作方法も、実演によって補足できます。

単価が高い商品では、動画を見た直後に購入されるとは限りません。それでも、商品理解を深めたり、比較時の疑問を減らしたりする接点として活用できます。

衝動買いされやすい低価格商品だけでなく、説明を通じて価値を伝える商材にも活用余地があることを示す例です。

WEGO

「WEGO」は、若年層向けのカジュアルファッションを手がけるアパレルブランドです。 

引用:「WEGO」TikTok公式アカウント

ファッション商品は、着用時のシルエットやコーディネートを動画で見せられます。商品単体の写真では想像しにくい着回しや、身長別のサイズ感も伝えやすくなります。

WEGOはTikTokを活用したコーディネート企画など、動画コンテンツとの接点を以前から持つ企業です。既存のSNSコンテンツと商品販売をつなげやすい特徴があります。

TikTok Shopは、SNS運用を一から始める企業だけが利用するものではありません。すでに蓄積した企画や出演者、撮影ノウハウを販売へ生かす方法も考えられます。

TikTok Shopに向いている企業と商材

TikTok Shopに向いているのは、商品の価値を動画で伝えられ、継続的にコンテンツを制作できる企業です。商材カテゴリーだけで適性を判断するのではなく、以下の3つの観点を確認するとよいでしょう。 

・動画で魅力を伝えやすい商材であるか

・購入前の説明が効果的な商材であるか

・クリエイターと連携しやすい企業であるか

動画で魅力を伝えやすい商材とは、使用前後の変化や動き、質感を見せられる商品です。コスメ、アパレル、食品、調理器具、美容家電、生活雑貨などが該当します。ただし「動画映え」だけでは不十分で、一つの商品から複数の動画テーマを継続して作れるかも確認したいポイントです。

購入前の説明が効果的な商材は、使い方や選び方を伝えることで購入への不安を減らせる商品です。美容機器や家電の操作方法、アパレルの着用感などが例に挙げられます。LIVE配信なら、商品ページだけでは解消しにくい疑問にもリアルタイムで対応できます。

クリエイターと連携しやすい企業は、体験談を作りやすい商品を持ち、表現ルールと自由度のバランスを設計できる企業です。商品サンプルの提供体制や、ブランドとして守る表現とクリエイターに任せる範囲の切り分けが、連携のしやすさを左右します。

TikTok Shopへの参入を判断するポイント

TikTok Shopへの参入は、流行や競合企業の動きだけで決めるものではありません。商品、運用体制、クリエイター、既存ECとの関係を整理して判断する必要があります。

最初から大規模に展開せず、対象商品や検証期間を限定して始める方法もあります。

自社の商品を動画で訴求できるか

最初に確認したいのは、自社商品の魅力を短い動画で表現できるかです。

商品の特徴を説明するだけでなく、誰のどのような悩みを解決するかを映像で見せる必要があります。利用前後の変化や使用手順を示せる商品は、企画を作りやすくなります。

既存の商品写真や広告文だけを動画に置き換えても、TikTokらしいコンテンツにはなりにくいでしょう。冒頭で興味を引き、最後まで見てもらえる構成が必要です。

例えば、参入前に1商品につき10本程度の企画案を出せるか試すと、継続運用の可能性を判断しやすくなります。

継続して運用できる体制があるか

TikTok Shopは、店舗を開設しただけで売上が続く仕組みではありません。動画制作やLIVE配信、商品登録、在庫管理、顧客対応が発生します。

担当者が一人ですべてを抱えると、投稿の継続が難しくなる可能性があります。社内で担当業務を分けるか、外部パートナーを利用するかを決めておく必要があります。

具体的には、企画、撮影、出演、編集、コメント対応、発送などの業務を洗い出します。既存のEC担当者やSNS担当者が担える範囲も確認します。

毎日投稿を前提にする必要はありません。無理なく続けられる本数から始め、成果を見ながら増やす方法が現実的です。

連携するクリエイターを確保できるか

クリエイター連携を活用する場合は、自社商品と視聴者層が合う相手を見つけられるか確認します。

フォロワー数だけで選ぶと、再生されても購入につながらない場合があります。投稿テーマ、コメント欄の反応、過去に紹介した商品なども確認したい項目です。

報酬率やサンプル提供の条件も事前に設計します。利益率が低い商品では、報酬や送料を差し引くと採算が合わない可能性があります。

最初は少人数のクリエイターと連携して動画の内容や売上を検証し、成果が見えた段階で、似た視聴者層を持つクリエイターへ広げることもできます。 

既存ECとの役割を分けられるか

TikTok Shopは、自社ECやECモールを必ずしも置き換えるものではありません。それぞれの役割を分けて運用するほうが、チャネル間の混乱を防げます。

例えば、TikTok Shopは新規顧客との出会いに使い、自社ECはリピート購入や会員施策に使う方法があります。ECモールは、商品名を検索するユーザーの受け皿として残せます。

TikTok Shop単体の売上だけでなく、自社ECへの指名検索やブランド認知への影響も含めて評価するとよいでしょう。

動画投稿後の効果検証ができるか

参入後は、売上だけでなく、購入までの各段階を確認する必要があります。

具体的には、動画の表示回数、視聴維持率、商品クリック率、購入率、客単価などです。クリエイターと連携する場合は、クリエイター別の投稿数や販売額も確認します。

動画が見られているのに商品がクリックされない場合は、商品の見せ方や案内方法に課題があるかもしれません。クリックされても購入されない場合は、価格や送料、商品ページを見直します。

検証期間は、商品や投稿頻度によって異なります。1本の動画だけで判断せず、複数の訴求とクリエイティブを試せる期間を設定するのがおすすめです。

まとめ

TikTok Shopは、動画やLIVE配信を通じて商品と出会い、そのまま購入まで進めることで、「検索して買う」だけでは届きにくかったユーザーとの接点を作れる点が大きな特徴です。

一方で、成果を上げるには、商品を登録するだけでは十分ではありません。動画で商品の魅力を伝えられるか、継続してコンテンツを発信できる体制があるか、クリエイターと連携できるかなど、自社に合った運用方法を考えることが大切です。

既存のECサイトやECモールを置き換えるのではなく、新規顧客との出会いを増やす販売チャネルの一つとして活用することで、EC戦略の幅を広げられるでしょう。まずは対象商品や検証期間を限定し、自社に合った活用方法を見極めるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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執筆者

マーケティングプラスワン

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