SNSでリーチを広げるには、企業アカウントの運用だけでなく、UGC(User Generated Content/ユーザー生成コンテンツ)を活用してユーザーとの接点を増やす発想が欠かせません。フォロワーは増えているのにインプレッションが伸びない、UGCを増やしたくても自然に発生しないと悩む担当者も多いのではないでしょうか。本記事では、レコメンド時代におけるUGCの役割やメリット、継続的に生み出す方法までを解説します。自社のSNS戦略を見直すヒントとしてお役立てください。
企業アカウントだけではリーチが伸びにくい理由
SNSでは、フォロワー数を増やすだけで安定したリーチを確保することが難しくなっています。ユーザーが接触する投稿は、フォロー中のアカウントに限られないためです。これからは自社アカウントの成長だけでなく、ブランドに関する投稿がどれだけ広く届いているかを見る必要があります。
SNSはフォロー型からレコメンド型へ変化した
従来のSNS運用では、フォロワーを増やし、自社の投稿を継続的に届ける考え方が中心でした。しかし現在は、ユーザーの興味・関心に応じて投稿を表示する「レコメンド」が大きな役割を担っています。
例えばInstagramでは、リールや発見タブを通じて、フォローしていないアカウントの投稿にも接触できます。そのため、企業がフォロワー数だけを増やしても、リーチが同じように伸びるとは限りません。
Instagramでは、投稿がどのように視聴・共有されるかなど、ユーザーの反応をもとにコンテンツがレコメンド表示されます。自社アカウントのフォロワー数だけではなく、クリエイターや一般ユーザーによる投稿も含めて接点を増やす発想が求められます。
企業アカウントはブランドの情報を蓄積する場所として活用しつつ、クリエイターや一般ユーザーの投稿からもブランドを知ってもらえる状態をつくる必要があります。
SNSのリーチを伸ばすには4つの接点で設計する
SNSで接点を広げる方法は、企業アカウントだけではありません。企業・クリエイター・一般ユーザー・広告という4つを組み合わせると、それぞれの強みを活かせます。ここでは、SNS戦略で各接点がどのような役割を担うのか整理します。
①Owned:企業アカウントはブランドの基盤
Ownedとは、企業自身が管理するメディアやアカウントを指します。SNSでは公式InstagramやTikTok、Xなどが該当します。
企業アカウントは、商品情報やブランドの考え方を正確に伝えられる点が強みです。プロフィールや過去の投稿を蓄積すれば、ユーザーがブランドを知ったあとに情報を確認する場所にもなります。
一方、自社からの発信だけでは、内容や表現が似通いやすくなります。企業アカウントをブランドの基盤としながら、ほかの接点を組み合わせることが効果的です。
②Creator:クリエイター投稿で新しい層に届ける
クリエイターの活用は、自社では生み出しにくい切り口から商品を紹介できる方法です。クリエイター自身のフォロワーだけでなく、レコメンドを通じた接触も期待できます。
例えば家電なら、企業が機能を紹介するだけでなく、「一人暮らしで使ってみた」「家事がどう変わったか」といった生活者目線のコンテンツを制作できます。
ただし、単発のPR投稿だけで終えると、継続的な接点にはなりにくいでしょう。一般ユーザーの投稿につなげたり、広告へ二次利用したりするなど、投稿後の展開まで考えておくのがおすすめです。
③UGC:ユーザー投稿で比較検討を後押しする
UGCとは「User Generated Content」の略で、一般ユーザーや顧客が作成・発信するコンテンツです。SNS上の商品レビューや口コミ、写真、動画、ハッシュタグ付き投稿などが該当します。
企業自身が商品の魅力を説明する広告や公式投稿とは異なり、UGCには実際の利用者による体験が反映されます。例えば「○○を使ってみた」「○○のある暮らし」といった投稿から、使用感や生活に取り入れた様子を確認できます。
購入を迷っているユーザーにとって、こうした投稿は判断材料の一つになります。企業からの情報だけでは伝えにくいリアルな利用シーンを補えることが、UGCの特徴です。
なお、企業から依頼や商品提供などを受けた投稿は、自然発生UGCとは扱いが異なる場合があります。広告であることを明瞭に示す必要があるケースもあるため、施策設計時には注意が必要です。
④Paid:成果の出た投稿を広告で広げる
Paidは、広告費を使ってコンテンツの露出を増やす方法です。Meta広告やTikTok広告などが該当します。
広告の役割は、企業が制作した広告クリエイティブを配信することだけではありません。反応のよかったクリエイター投稿やUGCを、許諾を得たうえで広告素材として展開する方法もあります。
オーガニック投稿でユーザーの反応を確かめ、その中から成果が期待できるコンテンツを広告で広げれば、制作と配信を切り離さずに運用できます。
このように、Owned・Creator・UGC・Paidにはそれぞれ異なる役割があります。4つを組み合わせ、ブランド全体でユーザーとの接点を設計する視点が欠かせません。
UGCのメリット
UGCは、企業だけではつくりにくいユーザーとの接点や、多様なコンテンツを増やせる施策です。リーチ拡大だけでなく、口コミの蓄積や比較検討の後押しなどにも活用できます。ここでは、企業がUGCを活用する主なメリットを紹介します。
フォロワー外リーチを拡大できる
UGCが投稿されると、自社アカウント以外の経路からブランドを知ってもらえる可能性が生まれます。
例えばユーザーが商品の使用動画をInstagramやTikTokへ投稿すれば、そのユーザーのフォロワーや、レコメンドで投稿を見た人にも商品が届きます。
自社アカウントのフォロワーだけでなく、複数の投稿者を通じてユーザーとの接点を増やせる点がUGCのメリットです。
コンテンツ総量を増やせる
UGCが継続的に生まれると、ブランドに関連するコンテンツの総量を増やせます。
企業だけで投稿を制作する場合、撮影や編集、企画に使える人員には限りがあります。UGCなら、ユーザーごとに異なる使用シーンや感想が投稿されるため、企業だけでは制作しにくい多様なコンテンツが蓄積されます。
SNS検索での接点を増やせる
SNSを商品やサービスの情報収集に使うユーザーに対して、UGCは新たな検索接点になります。
例えば商品名と一緒に「口コミ」「レビュー」と検索したり、「○○のある暮らし」のような言葉で使用シーンを探したりするケースがあります。
こうした検索結果に複数のユーザー投稿が存在すれば、公式アカウント以外からも商品を知る機会が生まれます。投稿数を増やすだけでなく、ユーザーが検索する場面を想定したUGCを蓄積することがポイントです。
信頼形成につながる
UGCでは、企業とは異なる利用者の立場から商品の使用感を伝えられます。
例えばペットフードなら、商品の成分や特徴は公式サイトで説明できます。一方、実際にペットが食べている動画や飼い主の感想は、食いつきや与えたときの様子を具体的に確認できます。
内容が必ず正確とは限りませんが、企業情報と実際の利用者による体験の両方を確認できれば、比較検討に必要な情報を増やせます。
広告素材としても活用できる
UGCは、必要な許諾を取得すれば広告クリエイティブとして活用できる場合があります。
例えば自然な使用シーンを撮影した動画を広告に転用すれば、新たに広告素材を一から制作する方法とは異なる見せ方ができます。
UGCを「投稿されたら終わり」にせず、公式SNSやWebサイト、広告などへ展開できれば、一つのコンテンツを複数の接点で活用できます。
UGCを継続的に生み出す4つの実践方法
UGCは自然に増えるのを待つだけでなく、ユーザーが投稿しやすい環境をつくることが必要です。接点づくりからクリエイター活用、権利管理、KPIまで一連の仕組みとして設計すると、単発施策で終わりにくくなります。
投稿したくなるきっかけをつくる
UGCを増やすには、ユーザーが思わず共有したくなる体験やきっかけを設計します。
例えば食品ならアレンジレシピ、日用品ならビフォーアフター、家電なら生活の変化など、商品によって投稿しやすいテーマは異なります。
公式ハッシュタグを用意する方法もありますが、ハッシュタグをつくるだけでは十分ではありません。商品パッケージや購入後メール、店頭、公式SNSなどで投稿のきっかけを提示すると、ユーザーが参加しやすくなります。
クリエイターから初期投稿を増やす
自然発生のUGCが少ない段階では、クリエイター投稿をきっかけに、商品を知る人や投稿のきっかけを増やす方法があります。
例えば美容家電なら、「機能を説明してください」と細かく指定するより、実際の生活でどう使うのかを見せてもらうことで、ユーザーが参考にできる投稿をつくりやすくなります。
二次利用の許諾ルールを整える
UGCを自社のSNSや広告へ展開するなら、投稿を集める段階から許諾フローを決めておくと管理しやすくなります。
具体的には、DMなどで投稿者へ連絡し、使用媒体、使用期間、加工の可否、対価などを確認します。許諾を得た記録も残しておくと、担当者が変わった場合でも確認できます。
「SNSに公開されているから自由に使える」と考えず、どこで、どのように利用できる投稿なのかを管理する仕組みが必要です。
UGCに合ったKPIを設定する
UGC施策では、企業アカウントのフォロワー数だけで成果を判断しないことがポイントです。
初期段階では、UGC投稿数や投稿者数、リーチなどから投稿が生まれているかを確認します。その後は、広告へ転用した場合のCTR・CPA・ROASなどへ評価範囲を広げます。
UGCを活用する上での注意点
UGCは企業がすべてを管理できるコンテンツではないため、運用体制や権利管理まで考えておく必要があります。投稿数だけを追うのではなく、ブランドへの影響や二次利用時のルールも含めて設計しておくと安心です。
ブランドコントロールが難しい
自然発生したUGCは、企業が内容を指定できません。好意的な投稿だけでなく、商品への不満やネガティブな口コミが投稿される可能性もあります。
企業に都合のよい内容だけを生み出そうとすると、UGC本来の説得力である「利用者の自然な声」が損なわれることがあります。
投稿内容を細かくコントロールするより、ネガティブな投稿が生まれた場合の対応方針や、公式アカウントから返信する基準を決めておくほうが現実的です。
継続的な運用体制が必要
UGC施策は、投稿を集めて終わりではありません。投稿の確認、投稿者への連絡、許諾管理、公式SNSへの掲載、広告への転用などの作業が発生します。
特にUGCが増えるほど管理対象も増えるため、担当者が片手間で対応する体制では負担が大きくなる可能性があります。
誰が投稿を確認し、誰が許諾を取り、どの部署が二次利用を判断するのかを決めておくと運用しやすくなります。
成果が出るまで時間がかかる
UGCは、広告のように予算を投下してすぐに一定量の露出を確保できる施策ではありません。
投稿するきっかけをつくり、UGCが増え、それを見た別のユーザーが商品を知るという流れには時間がかかります。
そのため、短期間の売上だけで施策を評価すると成果が見えにくくなります。初期は投稿数やリーチ、中期ではCVRや広告成果など、期間ごとに見る指標を変える方法が適しています。
二次利用など権利管理が必要
UGCを広告や公式サイトなどで二次利用する場合は、権利関係への配慮が必要です。
特に写真や動画には、投稿者以外の人物や第三者の著作物が写り込むケースもあります。許諾を取る際は、使用媒体や期間だけでなく、画像の加工や人物の扱いなども確認しておくと安心です。
広告目的で依頼した投稿については、景品表示法への対応も必要です。消費者庁は、事業者の表示であることが明瞭になるよう求めています。例えば、依頼したインフルエンサーの投稿を「お客様の声」として掲載することは適当ではないとしています。
社内だけで判断するのが難しい場合は、UGC施策に詳しい代理店や専門事業者、必要に応じて法律の専門家へ相談するのがおすすめです。
UGCの活用が向いている企業の特徴
UGCは幅広い企業で活用できますが、商品の特徴によって相性があります。特に、利用者の体験が購入判断に影響しやすい商材では、企業発信だけでは伝えにくい情報をUGCで補いやすくなります。自社が当てはまるか確認してみてください。
主力商品の数が限られている
主力商品が一つ、または商品数が限られている企業は、同じ商品について企業アカウントから発信を続けていると、機能や特徴、使い方など投稿内容が似通い、発信の切り口が限られやすい傾向にあります。
UGCを活用すれば、一つの商品でもユーザーによって異なる使い方や感想、利用シーンをコンテンツとして増やせます。例えばウォーターサーバーなら、設置場所や料理への利用、子育て中の使い方など、生活環境によってさまざまな投稿が生まれます。
商品数そのものを増やさなくても、ユーザーの視点を取り入れることで発信の切り口を広げられる点は、主力商品が限られている企業にとってUGCを活用するメリットです。
購入までの検討期間が長い
購入前に比較や情報収集をする商材では、UGCが判断材料になりやすいと考えられます。
例えば家電や美容商材、サブスクリプションサービスは、価格や契約期間などを理由に即決されないことがあります。公式サイトでスペックを確認したあと、SNSで口コミやレビューを探すユーザーもいるでしょう。
こうした商材では、商品のメリットを伝える投稿だけでなく、実際の使い方や使用後の感想などを蓄積することで、比較検討時の情報を補えます。
ただし、「検討期間が長いほどUGCの効果が高い」と一律に判断できるわけではありません。購入時に第三者の体験談が求められやすいかを基準に判断するとよいでしょう。
利用シーンが商品の価値になる
使っている場面そのものが魅力になる商品は、UGCとの相性がよい傾向があります。
例えば食品ならレシピや盛り付け、ベビー用品なら家庭での使用風景、日用品なら収納や掃除の様子などがコンテンツになります。
企業が用意した商品写真だけでは伝えにくい「実際の生活に取り入れるとどうなるか」を、ユーザーごとの視点で見せられるためです。
自社の商品を購入した人が「どんな場面なら投稿したくなるか」を考えると、UGC施策の切り口を見つけやすくなります。
まとめ
ユーザーがレコメンドを通じてさまざまなコンテンツと出会う機会が増えるなか、企業アカウントだけでなく、クリエイターやユーザー、広告も含めて接点を広げる考え方が求められています。
UGCは、ユーザー自身が商品やサービスについて発信するコンテンツです。フォロワー外へのリーチ拡大や口コミの蓄積、SNS検索での接点づくり、広告素材への活用など、さまざまな役割を持ちます。
ただし、UGCは自然に増えるのを待つだけでは継続的な成果につながりにくいため、投稿のきっかけをつくり、クリエイターも活用しながら継続的に生まれる仕組みを整えることが大切です。 二次利用する際は許諾や広告表示などのルールにも注意し、自社に合った運用体制とKPIを設計していきましょう。

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